麻薬探知犬を育成し、海外から密輸入される麻薬などの探知・検査にあたる麻薬探知犬ハンドラー。
今回は現職の麻薬探知犬ハンドラーに、その仕事の内容、楽しさ、厳しさを語ってもらいました。

東京税関 麻薬探知犬訓練センター
麻薬探知犬ハンドラー
国家公務員III種試験合格後(現国家公務員一般職)、東京税関に就職。麻薬探知犬ハンドラーとして麻薬探知犬訓練センターに配属。パートナーの麻薬探知犬レイア号とともに麻薬の密輸入水際阻止のための探知検査を行っている。
パートナーである麻薬探知犬のやる気を引き出して、麻薬の密輸入を阻止するのが私たちの役割です。
遊びながら、褒めながら訓練することで犬は伸びていく

麻薬探知犬ハンドラーの仕事は、麻薬探知犬とともに空港、港などで海外からの郵便物、貨物、お客様の手荷物などを検査して、麻薬の密輸入の水際阻止と摘発を行うことと、その麻薬探知犬を育成することです。麻薬探知犬の育成訓練には、ダミーと呼ばれるタオルを棒状に巻いたものを使用します。これをハンドラーが投げて、犬に取ってこさせることから訓練が始まり、最終的には麻薬の匂いをつけたものを草むらや車の中などに隠して、それを発見させるという訓練を行います。犬がダミーを見つけてきたら、ハンドラーは大いに褒めてあげることで、犬はダミー、すなわち麻薬を発見すると遊んでもらえる、褒めてもらえると学習して実際の現場でも麻薬を探すようになるというわけです。
犬との信頼関係を築く、日々の積み重ねが大切になる

当然、毎日検査や訓練をしていると犬にも感情があり、体調の良し悪しもあります。「今日はあんまり…」みたいな日もあるし、また、犬は人の気持ちに敏感なところがあるので、ハンドラーの体調が悪かったり、気が少しでも緩んだりしていると、それを見透します。ハンドラーはそれを見極めて、犬にとって何が一番いいのか考えて、自分のモチベーションとともに犬のやる気を高めてあげることが大切です。やはり犬と一緒に検査しているという気持ちが大事なので、訓練を通じていかに犬との信頼関係を築いていくか、日々の積み重ねが問われる仕事でもありますね。責任が非常に重い仕事なので、日々の努力や訓練の成果が実り、麻薬密輸入の水際阻止、摘発につながったときは、私にとっても犬にとっても何よりも最高の瞬間です。
ペットではなくパートナー、そんな厳しさが必要です

よく麻薬探知犬ハンドラーに求められる適性は?と聞かれますが、大切なのはメリハリをつけて犬と接すること。ずっと一緒にいると情が移り、ついつい甘やかしてしまいそうになりますが、それではただのペット。どんなにかわいくても、線引きをして接しないと良い仕事はできません。そこをきっちりと理解して、犬と接することができる人が良いハンドラーになれると思います。
方法は2つあります。
警察官の採用試験に合格し、警察の鑑識課などの警察犬を扱う部署に配属される方法があります。すなわち、警察官(公務員)ということになります。
民間の警察犬訓練所に入所し、経験を積み、公認訓練士の資格を取ります。