立志舎-公務員・情報処理等の専門学校
Special Talk
盲導犬の生涯を描いた「クイール」、「マリと子犬の物語」、「犬と私の10の約束」など、映画やテレビで活躍するワンちゃんたちの健気でひたむきな姿に感動した人は少なくないでしょう。
そんな彼らを育て、数々の作品で演技指導を手がけてきたのが俳優犬トレーナーの第一人者として知られる宮忠臣さんです。今回は、本学の氏原動物担当教務本部長が宮さんから「動物たちを相手に仕事をする」ということについてお話をうかがいました。
■ きっかけは「生き物が好き」
氏原: 「ドッグトレーナー」という肩書きは、宮さんが最初に使い始めたのですよね?
宮: そうですね。それまでは「犬の訓練士」と言っていました。もう20年以上前になりますが、「南極物語」で高倉健さんと共演したタロとジロの演技指導を担当しました。以来、俳優犬の育成に専念するようになったのですが、あの映画のエンドロールのクレジットに初めて「ドッグトレーナー」という言葉を使いました。今では一般用語になりましたね。
氏原: 映画は大ヒットして、あれから日本でも動物を主役にした映画が増え、宮さんの育てた俳優犬が大活躍するようになりましたね。それが現在のペットブームにつながっている気がします。本学では、若い人たちが、毎日、犬たちとふれ合いながら、将来、犬の専門家になるための勉強をしています。宮さんは、犬の訓練士になろうと思ったきっかけは何でしたか? special talk
宮: 単純に生き物が好きだったというのが一番の理由ですね。私の時代は、今のような専門学校はなかったですから、犬の訓練所の募集を見つけて、住み込みで見習訓練士として修行しました。
氏原: 訓練所では、どのように訓練士の技術を教わったのでしょうか?
宮: 最初は、毎日、犬舎の掃除をしたり、エサをやったり、雑用がほとんどでしたね。当時は、訓練の教則本もないですし、先輩や所長の助手をしながら、その訓練の技術を見て“盗む”わけです。同じ訓練でも、犬によっても訓練士によっても教え方が違ってきますから、一頭一頭訓練した経験の積み重ねしかありませんでした。
氏原: 毎日、犬の世話をしながら、ひとつひとつ覚えていくわけですね。やはり本人にそれだけの意欲がないと、なかなか身につかないですね。犬の訓練をするときに一番必要なこととは何ですか?
宮: 犬の性格をパッと見抜けるようになることでしょうね。同じ犬種でも性格が違いますから、その子にあった訓練をしてあげることが大切なんです。そして人間の頭で考えずに、その犬の立場になってあげることです。人間の考え方で「なんでこんな簡単なことができないんだ」と一方的に押しつけていったら、だいたい犬はダメになりますからね。
■ 人間も動物もコミュニケーションから信頼がうまれる
氏原: 本学では、学生たちに毎日の犬の世話をまかせることで、自然と絆を深めるように心がけています。訓練の成功には、犬との信頼関係を築くことが第一歩でしょうか。
宮: そうですね。私は、もともと人と話すのはあまり得意ではありませんでした。それで、この動物の仕事を選んだ部分もあったのですが、今になって考えると、それは逆でしたね。人間とコミュニケーションできなければ、犬とも会話できないと思います。決して口が達者である必要はないんです。要はきちんと相手の言うことを聞いて、こちらの言いたいことをわかってもらう努力ができるかどうか。動物たちとのコミュニケーションも基本は同じです。今、私が暮らしている稚内の「動物ふれあいランド」には、犬以外にもポニーや山羊、アヒルなどいろいろな動物がいますが、いつも私は彼らにも話しかけるんですよ。人間も動物もお互いの信頼関係って、心を開いてコミュニケーションをとることから深まるのだと思います。
氏原: これから動物の仕事をめざして、本学に進学する若い人に、何かアドバイスをいただけますか?
宮: これからこの学校をめざす若い方は、将来は動物の仕事がしたいという意志を持って進学するのだと思います。やるからにはぜひ、「自分にはこの道しかない」という強い気持ちで頑張ってほしいです。私も一人前のドッグトレーナーになるまでは、いろいろつらいこともありました。でも、「これしかない」という気持ちで乗り越えてきたからこそ、今の自分があると思います。ですから、ぜひ、みなさんも「この道しか自分を活かす道がない」という気持ちで頑張って欲しいですね。
■ これから出会う仲間を大切にしてほしい
氏原: 学生時代に、特に心がけなくてはいけないことは何でしょう?
宮: ドッグトレーナーもそうですが、学校を出て技術を身につけても、それだけでは仕事につながっていきません。だからこそ、学生時代には技術を覚えるだけでなく、人間としての勉強をしっかり積んでほしいと思います。それはひとつには、学校で出会う仲間を大切にし、人として共に成長していく経験だと思います。技術は後からついてきますが、学生時代の友情は、今しかつくれない一生の財産になりますから。
氏原: そうですね。本学でも社会人として基本となるコミュニケーション能力と、ビジネスマナーやパソコンの知識もマスターしてもらうようにしています。またコースごとにそれぞれの専門分野を学ぶと同時に、犬の専門家としてオールマイティの力をつけて欲しいと考え、幅広い技能を身につけられるカリキュラムを組んでいます。たとえば、ドッグトレーナーをめざす人も、グルーミングや看護についてもひと通りの知識と技術は身につけてほしいと考えています。こうしたことを、仲間どうしで協力し合い、みんなで成長することを重視しています。
宮: それは良いですね。犬を扱う人間には、しつけだけでなく、健康管理や手入れの知識も必要ですからね。みなさんの将来の活躍に大いに期待しています。
 
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