日本新華僑報で日本動物在学生の犬の里親制度の体験が紹介されました

日本新華僑報

一匹ワンちゃんのために2回も誓約書に判を

―ひとり在日中国人保護者の体験談

日本には、いろんな誓約書がある。例えば、「入学誓約書」、「就職内定誓約書」、「入社誓約書」、「秘密保持誓約書」など。最近、一人在日中国人の保護者が私に「一匹ワンちゃんのために二回も誓約書に判を押した」と言われたときに、私はちょっとびっくりした。

簡単にいうと、この保護者の娘さんは、小学校六年生のときに来日、中学校を卒業してから、無事に高校へ進学。高校三年間もあっという間に終わってしまい、進路を決める時期がやってきた。両親は娘さんが大学に進学して欲しいが、しかし、娘さんは動物専門学校に入りたいと言う。実は、娘さんは幼い頃からワンちゃんが大好きで、日本に来る前に『101匹ワンちゃん』という映画を飽きずに繰り返しで見ていた。来日後、たくさんのワンちゃんに関する漫画・小説を読み、映画・ドラマを見ていた。特に盲導犬の番組を見て、大きくなったら、盲導犬の訓練士になりたいと娘さんが言った。当初、両親は誰もその話に気にならなかったが、今、娘さんが当初の話を実現しようとするときに、その両親は驚いた。

娘さんはインターネットで動物専門学校を探し、両親に黙って高円寺にある「日本動物専門学校」のオープンキャンパスを見学しに行った。帰宅後、学校のいいとこや、オープンキャンパスで見たワンちゃんたちの名前を全部言ってきて、しかも、この学校以外の進学は絶対に嫌だと言う。両親は娘さんの強い意志に感動され、娘さんの願いを叶わせた。彼女は毎日、大好きなワンちゃんたちを触れながら、新たな学校生活を始めた。もちろん、学校ワンちゃんのことは、この家庭の食卓での話題になった。

ある日、帰宅した娘さんが「日曜日オプデス大会(アジリティー大会)に参加するから、金曜日の夜、学校犬を家に連れて帰ってきて、日曜日の早朝、直接に会場に行ってもいい?」とお父さんに聞いてきた。しかし、住んでいるマンションはペット飼い禁止で、しかも管理人も1階に住んでいる。もしワンちゃんが吠えたら、まずいではないかとお父さんが言う。娘は、ワンちゃんが訓練を受けているから大丈夫だと言いながら、泣きそうな顔をしていた。お父さんはたった二晩だけで、もしなにかあったら、事情を話せばと思い、頭を縦に振った。金曜日の夜、お父さんもワンちゃんと会えることを楽しみにしていたので、ちょっと早めに帰宅した。家に入ると、一匹白くてモコモコしたワンちゃんが娘の足元に隠れながら、お父さんを覗いていた。この子は「プリン」っていうんだよと娘さんが紹介した。お父さんがワンちゃんを触ろうとして近づいたら、ワンちゃんが一歩ずつ後ろに下がり、尻尾を隠して、お父さんに向かって、「わん!」と吠えた。

娘は「プリンちゃんは学校でも知らない人が来ると、びびって吠えるんだよ。あんたはだれ? 大人しくするから、これ以上近づかないでねという意味」と説明した。そのお父さんは今まで四回も犬を飼ったことがあるが、プリンちゃんがずっと娘に甘えている姿を見ると、ちょっとやきもちを妬いていた。

ゴールデンウイークが近づいてきた。娘さんは「休み期間中に学校犬を家に連れて帰って、お世話する里親という制度がある。プリンちゃんは学校でかなりの人気者で、応募する生徒が多くて、学校側は抽選という形にした。もし当たったら連れて帰ってもいい?」とお父さんに訪ねてきた。確かに、前回プリンちゃんが大人しく、言うことをちゃんと聞いてくれたことを思い出すと、お父さんは「いいよ」と同意した。そしたら、娘さんはカバンから一枚の紙を取り出して、「もう当たったよ。サインしてね」とお父さんに渡した。よく見ると「犬の受託についての誓約書」だった。紙には犬に関する「健康管理」・「散歩の注意」・「清潔管理」など十数箇条の注意事項が書いてあり、最後には、保護者のサイン欄と判を押す欄があった。そのお父さんは生まれて初めて一匹ワンちゃんのために、サインして、判を押した。

時は矢の如し。また夏休みがやってきた。娘さんが帰ってきて、お盆休みにプリンちゃんの里親の抽選が当たったよと言ってきた。ゴールデンウイーク中のプリンちゃんがすごく可愛く、賢い子で、家族のみんなと一緒に楽しい毎日を過ごしたことを思い出すと、お父さんは思わず「誓約書」にサインをし、判を押した。

しかし、お父さんが不思議に思うのは、一回里親になった人は、次に里親になるのが難しいと娘さんから聞いたが、なぜまた当たったの? 娘さんは、当初当たった生徒さんは、都合が悪くなったので、譲ってもらったと言う。

待ちに待った。プリンちゃんがまたその家庭にやってきた。ゴールデンウイーク中に「宿泊」したことがあるからか、プリンちゃんは初めてきたときよりめっちゃフレンドリーになった。リードを手にした度に、プリンちゃんは散歩だと分かったのか走って飛びついてくる。奥さんが台所に入ると、プリンちゃんはおいしいものがあると分かったのか、尻尾を振りながら、奥さんの足元でぐるぐる回って、座っていい子ふりをする。プリンちゃんが外耳炎のため、毎日耳掃除しなくちゃいけないが、しかし、プリンちゃんはそれが大嫌いで、娘さんが掃除道具を手にすると、プリンちゃんが尻尾を下げて、テーブルの端から端まで小走りで逃げる。いくら呼んでも、聞えないふりをする。仕方なくプリンちゃんを抱っこしようとすると、プリンちゃんがお尻を突き出して嫌がってばかり。そんな姿はとても可愛かった。また、娘さんが出かけると、プリンちゃんが玄関で30分ほども待っていた。奥さんが呼んでもビクともしないし、聞えないふり。娘のことが大好きだなあとその両親が思う。

お父さんはこんな面白いことを体験談にしたいため、娘に「犬の受託についての誓約書」の見本を取りに行かせた。しかし、学校側がその「誓約書」の使い方や使い場所を知るため、お父さんを一回学校に来て、説明してほしいと言う。教務長の小松先生がお父さんの説明を聞いてから、快くその「誓約書」を渡した。小松先生の紹介によると、「日本動物専門学校」は東京、名古屋、大阪にあり、立志舎グループの中での一部にすぎない。今現在、一部の中国人留学生は、立志舎グループの中のIT会計専門学校、日本スクール、法律専門学校で勉強している。一番驚いたのは、留学生にはいろんな留学支援制度があり、最大入学金および授業料全額免除だった。もし、娘が留学生の身分であれば、その支援制度も享受できるなとお父さんが思う。

もうすぐ冬休みになり、お父さんは娘に「命令」を下した。「冬休み、プリンちゃんを連れて帰って来られなかったら、あなたも帰ってくるな」。

写真説明
1―娘さんと学校犬プリン
2―「犬の受託についての誓約書」の見本